2012年4月9日月曜日

「良いホームページの条件」とは? (4)ページの見えない中身

このブログでは、ここ数回、「良いホームページ(Webサイト)とは、どういうものか」についてお伝えしています。

私がどのような事を意識してWebを作成しているか、ご自身でページを作成している方にも参考になる情報をお伝えできればと思います。

さて今回は、「ページの見えない中身」についてお伝えします。


Webページの中身「タグ」と「W3C」

Webのページの中身は「HyperText Markup Language」略してHTMLと呼ばれる言語で記述されています。

(1) Webのはじまりで触れたように、もともとWebは論文などの文章を共有する事が目的でした。なのでHTMLは当初、色や配置などは二の次で、タイトル、章、項、節と本文、箇条書きやリンクなどを記述する事ができるよう設計されました。

これらの構造は「タグ」というもので指定する仕組みになっていますが、その後、画像も文書中に表示可能となるよう拡張したNCSA Mosaicが普及したのを皮切りに、各Webブラウザ開発者が機能の追加に合わせて独自のタグを拡張するようになっていきました。(ちなみに私が初めて見たWebブラウザもNCSA Mossaicで、Sunのマシンの上で動いていました。20年近く前の事です。)

独自のタグが増えるとページを作成するのが大変になってしまうので、Webの生みの親であるティム・バーナーズ=リーが中心となってWorld Wide Web Consortium(W3C)という団体を立ち上げて規格を共通化するようになりました。

W3Cが定めた規格どおりページが記述されているかどうかは、The W3C Markup Validation Serviceのページで確認することが出来ます。このブログはBloggerのシステムを使っているので対応できませんが、自分でサイトを作るときは可能な限り対応するようにしています。W3Cの規格に合わせつつTwitterやFacebookへ対応するのはひと手間かかるので、他社できちんと対応できているページは少ないと思います。


規格に従うメリットは?

  • 様々な端末やブラウザ、多くのユーザーへの対応

    HTMLファイルを表示するプログラム「ブラウザ」はなるべく規格に従うように設計されています。ページのデータがきちんと規格に従っていないと、自分のコンピューターでは普通に表示されていても、別の環境では表示が崩れる事があります。また前回の記事の最後、音声合成機能で文章を読み上げる「音声ブラウザ」という機能について触れましたが、規格に従ったページにすることで適切に読み上げる事が可能になります。

  • 検索エンジンへの対応

    人間はレイアウトで文章の構造を認識しますが、コンピューターはタグを手掛かりにします。表示する際のレイアウトも、タグを手掛かりに決めていきます。ページ内に適切にタグを使う事で、検索エンジンも目次や次に読むべきページなどのページの構造を正しく認識するようになります。

  • 通信量の最適化

    適切に規格に従うと「文章の構造」と「見た目の定義」を分けることが出来ます。この見た目の定義にはCascading Style Sheets(CSS)という仕組みを使うのですが、これを上手く使うとサイト内のページを連続して表示する際に「見た目の定義データ」は最初に1回送信するだけで済み、わずかながら転送量を節約できます。「チリも積もれば」で、特に大規模なサイトでは大幅なデータ量を節約できることになります。


古いブラウザの問題点とは?

残念ながら、古いブラウザでは規格で意図されている通りに動作しない事があります。

特にInternet Explorer 6 (IE6)は登場から10年も経っており非常に古く、特にCSSについて問題を多発するので、多くのWeb製作者は他と別扱いで時間をかけて作成しています。

IEはその後 7, 8, 9 と新しいバージョンが登場しており、その都度、さらに適切に規格に従うように改良されていますが、それでもまだまだ古いIE6を使っている方が多く居ます。マイクロソフト社もIE6の利用を止めるように、わざわざInternet Explorer 6 Countdownというサイトを用意していますが、今日の時点でも、日本でもまだ6%以上の方が残っていますね。「更新を促すメッセージが出ているけど、よく分からないので現状維持」としてしまう方も多い模様です。

そこで、Internet Explorer 9 の自動更新による配布という記事の通り、6月からInternet Explorerの自動配布が行われる予定となっています。古いIEは規格に従っていないだけでなく、表示速度も遅く、セキュリティ上も問題を生じやすいので、特別な理由がない限りは更新した方が良いでしょう。以前はかながわ電子入札共同システムなど古いIEでないと問題を生じるページが多々ありましたが、IE9対応のページが増えつつある模様です。

ともあれ、「良いページ」はブラウザの新旧を問わずなるべく様々な環境で見れられるよう工夫していますが、これもお客様からは見えにくい部分となっていますね。


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